■ [HOUSE]Dr.HOUSEシーズン2第19話「ハウス vs 神」(House vs. God) (北米初回オンエア:2006年4月25日)
第58回エミー賞作品賞ノミネート対象エピソード。
脚本・Doris Egan:ヒューマニタス賞ノミネート。
::Dr.HOUSE ::
FOXチャンネルにて、毎週火曜日23:00〜new他放送中。
夜の街角。
とある建物に何人かの人が入っていきます。中から聞こえてくるのは賛美歌の歌声("Oh Happy Day")や手拍子。ここは教会で、多くの信者たちが大変盛り上がっている様子。松葉杖の人、車椅子の人もいます。
1人の男性、ボイドが説教中のようです。「魂を感じる!?」とボイドがあおると歓声で応える信者たち。
説教を続けるボイド。「ユダヤのアサ王は治世39年目に重い足の病にかかった。でも彼は神からのではなく、医者の助けを求めた。今の時代、医者に診せるのは悪いことじゃない。でも医者は、イエスが自身の弟子に与えた力で治療したようなことは出来ない。我々は主の力なしでは一歩も前に進むことは出来ない。」と。
そしてボイドは、歩行器につかまって立っている老婦人の頭に手のひらをかざすように乗せ始めました。そして目を閉じて「アグネス、神の愛をあなたへ与えます。」と。じっと目を閉じてその言葉を聴いているアグネス。
ボイドは目を開くとアグネスの頭から手を離し、彼女の歩行器に手をかけるとゆっくりとアグネスの手から離します。
歩行器がなくてもまっすぐに立っているアグネス。信者たちは驚いていた表情を浮かべています。ボイドは「信じれば…すべてが可能だ。」と。それから信者たちに「友よ、この教会に満ちた神の愛をアグネスに感じてもらおう!」と続けます。それから拍手を。
すると信者たちは立ち上がり、ボイドにならって、アグネスに拍手を送り始めました。「あなたなら出来る!さぁ!」とアグネスに声をかけるボイド。
アグネスは周りの様子に戸惑いながらも、ゆっくりと一歩一歩、足を前に出します。笑顔になるアグネス手を開いて天を仰ぎます。
さらにテンションがあがる信者たち。
天を仰ぎ「感謝します!神よ…!」と言ったところでボイドは突然、体の筋肉に異常を感じ始めた様子。CGIで筋肉が急速に収縮する様子が描かれます。
苦しそうにひざを着くボイド。父親のウォルターが駆け寄ります。ボイドは「父さん、医者を…。」と言うと意識を失ってしまい…。
オープニング。
病院・玄関ホール。
出勤してきた、サングラス・ライダースジャケット姿のハウスの元へ「僕のDVDプレイヤーは?」と言いながらウィルソンがやってきました。「必要なら出て行くときに置いていくべきじゃなかったな。」と返すハウス。
「ビデオでポルノを見るのは退屈だもんな。」とからかうようにウィルソンが言うと、使い終わったらすぐに電話するとハウスは言います。ただし、電話を引いたらの話だけどと。
ウィルソンは忘れてたと応じると、仕事のあと自分で取りにいくと伝え、木曜日はどうだとたずねます。すると、木曜日は家にいないと応じるハウス。しかしウィルソンは、まだ鍵を持っているから勝手に出入りできると。
すると、明日自分で持ってくると言うハウス。そして「リンジー・ローハンがスペリング競技をやる映画をまた観るのか?スペリングが得意な少女に何があるんだろうな?」とからかうように続けると、数学コンテストだとウィルソンは訂正。さらにハウスは「数えるのが得意な少女に何があるんだろうな?」と返します。
そんなハウスを無視して、今日はポーカーナイトだろうとたずねるウィルソン。しかしハウスはその問いには答えず、ごまかすような表情を。そこでウィルソンは「数週間前は参加していいって言ったよな?ごまかすなよ。」と問い詰めます。
しかしハウスは「行かなきゃ。病人でいっぱいの場所へね。急げば逃げられるかも。」と言いながらエレベーターに乗り込んで行ってしまいました。
ボイドを診察しているキャメロンとフォアマン。
腹部には異常なしだとフォアマンは言うと、ボイドに何を食べたかとたずねます。チキンサンドイッチだと答えるボイド。旅をしているから、ファーストフードが多いとのこと。
腹部を触診するフォアマン。キャメロンは採血のためにボイドの腕に注射針を刺します。するとボイドは「ありがとう。ほとんど感じない。」と。その言葉に笑顔を浮かべ、どういたしましてと応じるキャメロン。
「神はあなたがやさしい人だと私に言っている。」とボイドはキャメロンに言います。面食らいつつ、笑顔を浮かべると、神と話すのかたずねるキャメロン。
すると付き添っていたウォルターが、ボイドにはよく神が降りてきて、人を導くのを助けるのだと説明。どのぐらい続いているのかとフォアマンがたずねると、10歳以来だと。とりあえずうなずくフォアマン。
するとボイドが「神は僕に言った。一緒に働いている男性に対する復讐心に燃える気持ちを隠している女性医師に僕が会うってね。」と言い出しました。
その言葉にあ然としてフォアマンの方を見るキャメロン。フォアマンもキャメロンをチラリと見返します。「神の『み技』だよ。」と笑顔で言うボイド。「覚えておく。」と戸惑いつつもキャメロンは応じます。
そしてキャメロンは検尿カップを手に取ると、尿が薄いみたいだと指摘。つまりどういうことかとウォルターがたずねると、腎臓の機能が悪いから体内に毒素がたまる可能性があると説明を。血液検査をして調べると。
「ありがとう。感謝するよ。」と笑顔で言うボイド。キャメロンとフォアマンはうなずいて部屋の外へ。
ハウスのオフィス。
ハウスはヨーヨーで遊んでます。
ハウス:神が彼と話すのか?
チェイス:精神病ではなく、彼はただ単に信心深いんですよ。血液検査で出た唯一の医学的問題は低ナトリウムぐらい。
ハウス:違う。神と話すっていうのは信心深いから。神が語りかけてくるっていうのは精神病だから。
チェイス:多くの人は象徴的なものとして宗教的な経験をしてますよ。だから別に…
ハウス:君が神学校にいた時、神は君に語りかけてきたか?
チェイス:(笑う)
ハウス:(答えを促すようにチェイスを見る。)
チェイス:いいえ。
ハウス:神の負け。俺たちの勝ちだ。彼は精神病患者か、詐欺師だな。
フォアマン:彼は本当に…とても印象的ですよ。
ハウス:藪でも燃やしたか?見事なショーだ。
キャメロン:彼は知的で礼儀正しくて、威厳もあり、典型的な15歳には見えません。
フォアマン:彼はキャメロンに、神は論文の件について私に対してイラつくのはもうやめて欲しいと思ってるって言ったんですよ。
ハウス:神は君がキャメロンの論文を盗んだことを知ってたのか?
フォアマン:彼女が復讐心に燃える気持ちを隠しているって知ってたんです。
キャメロン:もう、忘れましたよ。
ハウス:君たちの態度から二人の間にベルリンの壁があることぐらい俺にもわかるぞ。彼がそれに気づいたなんて、ショックだな。低ナトリウムか…アディソン病の検査は?
チェイス:色素沈着もカリウム値も正常。
ハウス:肝硬変は?
フォアマン:肝臓は大丈夫です。異常ありません。
ハウス:(ため息)低ナトリウム状態を治すために塩分摂取量をモニターしろ。1時間で1リットルにつき1mEq以上は取らせるな。病歴からドラッグの所見や他の妄想を突っついてみるか。(部屋を出て行こうとする)
チェイス:患者と話しをするつもりなんですか?
ハウス:神は彼に語りかける。俺が神より優れていると思ったら、それはあまりに尊大だろ?
去っていくハウス。
ボイドの病室。
ハウスは杖で病室のドアを開け、しばしその場で立ち尽くすと「君は信仰治療師か?」と言います。ボイドが笑顔を向けると続けて「それともこれは軽蔑の言葉かな。『神による健康管理』の方がいい?」と。それからハウスは、神は自分が部屋を訪れると言っていたかとたずねます。
その言葉に「信仰治療師でかまいませんよ、ドクター・ハウス。」と応じるボイド。ハウスはわざとらしく驚いた様子を見せると「すばらしい。白衣に『H』の文字が見えたとでも?」と。
しかしボイドは挑発にはのらず、看護師が話していたと応じます。すると「ヤツらを信じるな。俺はズボンの中に靴下を入れてる。」と言うハウス(笑)そして「信仰」は「無知」の同義語だろうと皮肉を。どうして人は根拠がないのに何かを信じることに誇りを持つことが出来るのか、ハウスはまったく理解できないらしい。たとえば「偉業」みたいなものを。
すると「神は我々の信頼を求めている。信じなければ、誰も愛することは出来ない。」と反論するボイド。ハウスは信頼は得るものだと言うと、クローゼットの中に隠れている誰かを信じることはできないだろうと言い返します。
そんなハウスに「あなたは誰も信じないんでしょう?」と鋭いことを言うボイド。
ハウスはしばし言葉につまると「とらえどころがないな。」と返し、混乱も無気力感もないようだけどどんなドラッグを飲んでいるのかとたずねます。
アスピリンぐらいだと答えるボイド。集中していると食べることを忘れてしまうので、空腹から頭痛がするとのこと。「アスピリンと病院はいいのか。」と皮肉で返すハウス。多くの人と同じように医学的助けを得ているのは興味深いと。
そこに父親のウォルターが水のペットボトルを手に戻ってきました。
ハウスの皮肉にボイドは、自分が祈りを信じているということが、細菌と毒素の存在を信じていないということにはならないと返し、ウォルターからボトルを受け取ります。そして、ボトルのキャップをひねるというよりは、簡単に取って飲み始めました。
そんな様子に、そのボトルはすでにキャップが開いていて、冷水機から補充したのかとたずねるハウス。ウォルターが肯定すると、さらに頻度をたずねます。その問いに、1時間に2、3回だと答えるウォルター。彼が水で潤すのが好きだからと。
驚いている様子のハウスに、続けてウォルターは不安げな様子で、細菌が入っていたとでも言うのかとたずねますが、普通に水が入っていると思うと応じるハウス。
ウィルソンのオフィス。
ウィルソンが患者のグレイスの診察をしています。カルテを見ながら、痛み止めを出すというウィルソンですが「また?」とうんざりした様子のグレイス。
オキシコドンの量を増やすとウィルソンは言いますが、グレイスは弱々しい声ながらも笑顔を浮かべて、こうして話していられる唯一の理由は、今朝薬を全部飲んでいないからだと言います。
言葉もなくグレイスを見るウィルソン。さらにグレイスは「あなたは最善をつくしてくれた。それに私もいい兵士だった。もう終わりだってことを認める時ね。」と。
そんなグレイスを励ますように、旅行に行きたいと言ってたではないかと言うウィルソン。10代のころからフィレンツェを見てみたかったのだろうと。しかし、薬漬けで行く旅行なんて自分が夢に見ていたものではないと言うグレイス。
ウィルソンはグレイスを説得するように語り掛けます。「あなたは強い人だ。病気と対峙して来た。」と。そして、体に合う正しい痛み止めの組み合わせがあるはずだし、それをきっと見つけてみせると続けます。だからあきらめるなと。
すると、バルコニー側からハウスがやってきました。ガラスドアを杖で叩いてウィルソンを呼び出します。
ウィルソンは「悪いね。僕には場をわきまえない友人がいて…。」とグレイスに言うとバルコニーへ。
ウィルソン:5分待ってくれるか?
ハウス:死にかけてる?
ウィルソン:あぁ。
ハウス:このコンサルが終わる前にも?
ウィルソン:君が自己中心的だっていう記念碑が建てられるだろうな。
ハウス:患者、15歳、信仰療法師。神へのホットラインを持ってる。
ウィルソン:症状はなんだ?
ハウス:彼は聖人じゃない。彼は、見て、聞いて、推定することによってその人に何が起こっているかがわかるんだ。
ウィルソン:自分の商標権が侵害されるのを心配してるのか?
ハウス:それから彼は、人が思わず飛びつくような神の言葉を伝える。権力の誇示だ。